スウェーデン研修6日目。「何かのイベント」が終わったようで、ホテルはチェックアウトをする人たちでごった返していました。いろいろなスウェーデン人に何があったのか聞いてみたのですが、結局分からず。「ヴェクショーは有名な街だからね!」という結論になりました。
今日は9:30から、いまヴェクショーで一番面白い取り組みをしているという、ノレマークの幼稚園を訪問しました。車を走らせて森の中にある幼稚園に着くと、ちょうど15人ぐらいの子どもたちが列を作って、森に遊びに行くところ。さっそく私たちも同行させてもらうことにしました。・・・とはいうものの、気温は5℃。そう、ここの幼稚園は、野外活動を主体としたプログラムを行っているということで有名なのです。
森の中を歩くこと5分。多くの子どもがスウェーデン発祥のアウトドアメーカー、フェールラーベン(Fjäll Räven)の小さなカンケン(Kånken)というリュックサックを背負っていて、後ろから見ているととってもかわいいのです。森に着くとみんなで大きな輪になって座ります。各自、リュックの中から水筒やサンドウィッチを取りだし、フィーカタイム。冷えた体も温まり、お話も弾みます。するとおもむろに、ヨナタン(Jonatan Öhman)先生がギターを取り出し、歌の時間。森の中に子どもたちの歌声が響く様子は、まるで何かの物語か映画のようでした。
さて、私たちは一足先に幼稚園に戻って、お話をうかがうことにしました。現在園児は32人。彼らを冬は7人、夏は6人の先生で見ています。以前は先生がプログラムを用意していたのですが、それではあんまり子どもたちが興味を持たないということで、現在は子どもが興味を持ったり疑問に思ったりしたことをピックアップして、プログラムにしているとのことでした。こんなに寒い中、外に出ていて風邪を引いたりしないのかな、と思って聞いてみると、逆に体が強くなって風邪を引かないとのこと。アレルギーやぜんそくが治ったり、他の幼稚園の子どもと比較しても運動神経が発達しているそうです。
見学を終えた私たちは、日本に買って帰るものを探しに大きなスーパーを訪れました。Cafe Olympiaでもすっかりお馴染みになったシナモンロールをつくるためのシナモンやカルダモン、クリスマス用のサフランブレッドをつくるためのサフランなど、業務用のものであれば日本の数分の1の値段で手に入りました。携帯用のバーコードリーダーを持ち歩いて、自分でスキャンしながら自動精算をするというシステムも浸透しているようで、私たちにとっては驚きでした。
昼食は、リンネ大学のCafe Tufvanでいただきました。実はここはヴェクショー市が運営しているカフェで、障害をもった人たちも働いています。注文を聞いたり、商品を運んだり、掃除をしたり・・・とても生き生きと仕事をしている様子が印象的でした。料理の味もとってもいいということで、たくさんの学生で賑わっていました。障害の有無など関係なく、ごくごく普通に生活の中に溶け込んでいる、という感じです。
昼食後は、私の留学していたリンネ大学の看護福祉学部に行って、当時お世話になったカタリーナ先生にお会いしました。もう10年もの月日が流れているのですが、いつ会いに行っても大歓迎してくれる、とってもステキな先生です。リンネ大学での看護師教育のことや、卒業生達の動向、ウガンダや中国との共同プログラムについてお話をうかがうとともに、スウェーデンと日本の高齢者福祉の状況について、情報交換ができました。特に、先生自身がお母さんの介護をされていたというお話は、スウェーデンの介護の現状を知るためにとても参考になりました。
話が一段落したところで「コーヒーでもどう?」と誘われてティールームに行くと、他の先生方や学生さん達もたくさんいて、いろいろとお話をすることができました。スウェーデンでは大学の先生であってもファーストネームで気軽に呼び合います。こういうフラットな人間関係が、新しいモノを生み出していく上ではとても重要なんだろうなと、改めて感じさせられました。
そして、今日の締めくくりは、大学のすぐ近くにある給水塔の見学。給水塔というのは、給水システムに圧力を与えるために、水を溜めておくもので、最近は水道の普及によって、あまり見かけなくなってしまいました。鈴木先生はこの給水塔を「百聞は一見にしかず」ではなく、「百見は一聞にしかず」と名付けています。「どうしてそんな名前なの?」と思われた方は、ぜひ一度、足を運んでみてください。きっとその理由が分かると思います!
Tsukasa