オリンピアスウェーデン研修2012 - その7

いよいよヴェクショー最終日。充実感と寂しさで、なんだかいつもより早く目が覚めてしまいました。

 

今日は10:30から、ヴェクショー市からカレマケア(Carema Care)という会社が運営委託をされている、2つの高齢者施設、エベリッド(Evelid)とテルスベーゲン(Tellusvägen)を訪問しました。近年スウェーデンでは、都市部を中心に高齢者施設の民営化が進んでいますが、それに伴って質の低下やスキャンダルが起きたりもしています。民営化された施設の状況をこの目で確かめる、絶好の機会となりました。

案内してくれたのは施設長のレーナ(Leena Hallrup)さん。施設に入ってまず驚かされたのは、とても清潔であるということ。感染症を予防するために、徹底的な衛生管理を行っていると、自信を持って教えてくれました。その他、緊急アラームやスプリンクラーなど、最新の設備が次々と導入されていました。

それぞれのユニットで生活する入居者のみなさん、そして働いているスタッフがとても生き生きとしているのが印象的でした。みなさんと一緒にフィーカをさせてもらったのですが、常に誰かが冗談を言って、笑いが絶えません。

「コミューンが運営する施設と、民営化された施設の違いは何ですか?」レーナさんに尋ねると、「コミューンでは判断や決定に時間がかかりすぎるけど、私たちはすぐに何でも決定することができる」とおっしゃっていました。また、次々と新しいアクティビティを導入するなど、常に新しいことに挑戦しようという雰囲気が感じられました。

「来年はスタッフの人に1日実習してもらってもいいですよ」とうれしいお申し出をいただいたので、ぜひ計画したいと思います。

 

予定時間をすっかりオーバーした見学を終えて、私たちはリンネ大学へ。看護福祉学部のクリスティーナ(Christina Siwertsson)先生から、ソーシャルワークコースについてお話を伺いました。今回、私たちは、若くて活躍している施設長やケアマネジャーにたくさん出会いました。年齢が若く経験の浅い彼らが活躍できるのは、教育に対する評価が非常に高いのではないかと思ったからです。

リンネ大学でソーシャルワーカーの資格を取得するには、7セメスター、つまり3年半のコースを履修する必要があります。その中では、社会福祉の理論、マネジメント、評価の手法、国際比較、そして様々な現場での実習など、かなり内容の詰まった教育がなされています。私が留学していた10年前は、多くの学生が一度福祉現場での経験を積んだ、30代、40代の女性が大半だったのですが、いまは高校を出てすぐの学生が大半だということ。スウェーデンも常に状況が変化している。その情報をしっかりとアップデートしていくことが大切だと感じさせられました。

 

その後は、1週間私たちの足として活躍してくれた、レンタカーのVOLVO V70を返却して、ヴェクショー駅に向かいました。乗ろうと思っていた電車が遅れていたこともあって、駅前の「もしもし」という名前のお寿司屋さんでお茶を飲むことに。12月、駅の南側にある「スモーランド博物館」に「居酒屋もし」をオープンするとのことで、現在いろいろと準備が進められています。ヴェクショーにお寿司屋さんや居酒屋ができるというのも、時代ですね。

さて、今回の滞在中、研修のコーディネートに通訳と、鈴木先生には何から何までお世話になりました。「来年はもっと人数が増えても大丈夫だよ!」ととてもうれしいお言葉もいただきました。帰国したら早速、来年の研修に向けて準備を進めたいと思います。


何度も何度も先生にお礼を言って、電車に乗った私たちは一路ルンドへ。ルンドはスウェーデン南部に位置する大学の街。大学院の博士課程で心理学を学んでいる、私の友人のアルビッド(Arvid Erlandsson)に会いに行ったのでした。一緒にお寿司を食べながら、今回の滞在中に感じたことなどを話していると、スウェーデン人の人生観や仕事観というものが、だんだんと見えてきた気がします。やはり、彼らにとって仕事だけが人生ではない。人生の目標のために、仕事を辞めたり替わったりすることはよくあることで、組織もそれを理解している。でも、たとえ人が替わっても、組織がこれまで通り機能するのは、非常に効率化されたシステムのなせる技だということなのです。日本にも2年間留学した彼ならではの話をたくさん聞くことができ、とても有意義な再会となりました。

 

そして私たちはコペンハーゲン空港のホテルへ。いよいよ、明日は日本に向けて出発です!

Tsukasa